生暖かい風に髪をなぶられる。
違和感を覚えて、足立は目を開けた。

「・・・?」

横たわっていた体を起こし、ぼんやりする頭を少しずつあたためていく。

最後の記憶は、寝間着で布団にもぐりこんだこと。
年末の疲れが出たのか、眠りはすぐ訪れた。
だから今、自分は自室にいなければならないのだが・・・。

壊れた町並み。赤と黒の波模様が流れていく空。
布団はなく、足立はひび割れた道路に座っている。
着ているのは、いつものスーツ。


・・・これは夢か?
掌で道路をなでてみる。
じゃりっとした感触がして、顔をしかめた。

「・・・出口、探すか」

夢でも現実でも、体を動かしている方が気もまぎれるだろう。
手とお尻をはらって、歩き出した。





*****************************





瓦礫を避けながら、あてもなく歩き続けた。
途中で、何度もシャドウと出くわしたが、足立は襲われることはなかった。
興味深げな視線を感じることはあっても、追ってくる気配はない。
少年達に問答無用で牙を剥く彼らも、自分にとってはただの隣人といったところだった。

「あ〜、ここも行き止まりかぁ」

きびすを返そうとして、足立はぎょっとした。
さっきまでいなかったシャドウが目の前にいた。
驚いたのは、その大きさだけではない。形状も妙だった。


一言で言うならば、へびの集合体だった。
2メートル以上ある胴体から大小さまざまな触手がせり出し、こちらを威圧している。細いものなら足立の指ほど、太いものなら足立が座れるくらいの強靭さを感じさせた。
触手は一見へびのようだが頭部と思われる場所に目鼻はなく小さな穴がついていて、この世ならざる歪さとグロテスクさを感じる。表面はぬらぬらとぬめっていて赤黒く、男性器のようだ。
1つ1つが意志をもっているように蠢めいていて、なぜか足立は少年との淫行を思い出し、こほん、と咳払いした。

・・・ばかばかしい。

頭をかきながら、足立はシャドウの横を通り過ぎた。

「・・・え?」

急に足が動かなくなり、目を見開いた。
触手が足に絡み付いている。

「え、・・・うわっ!?」
後ろに体を引っ張られる。
「しまっ・・・!?」
気づけば触手に四肢を搦め捕られていた。
背中に、ぬちゃっとシャドウの体があたる。
かっとなって、必死に身を捩った。
「クソっ! 離せ! お前ら、僕を攻撃しないんじゃ・・・!?」
怒鳴っても、触手の拘束は解かれない。
「ちっ。雑魚のくせに・・・!」
怒りに体が燃え上がる。
自分の中の何かがふくれあがり、言葉になる。
「マガツイザナギ・・・!」
しかし、最後まで言うことはできなかった。
首もとを這っていた触手が、足立の口に入ってきたからだ。
「うぅっ!?」
噛み切れないほど太い触手に、鼻の奥がつんとして、涙がにじんだ。

・・・こんなところで。僕は食われて殺されるのか?

屈辱に震えてもどうしようもなく、服の隙間から入ってくる無数の触手に身を任せるしかない。
「ひっ」
生暖かいそれが、ぬちゃぬちゃと淫猥な音をさせながら、肌に触れてきた。
足先から太腿へ。へそからみぞおちへ。腰から背骨を這い、鎖骨から侵入した仲間と絡み合う。
初めはいつ、噛み付かれ、捕食されるかびくびくしていた足立だったが、いつまでたっても訪れない痛みに、眉をひそめた。
こいつらの目的はなんだ?
触手の動きを五感で追っていると、妙なことに気づいた。
彼らは足立を攻撃しているというより、むしろ愛撫しているかのようだった。
足立の敏感なところを探すように、触手をすりつけてくる。
「あっ、ん、はぁっ」
恐怖が気持ちよさに変わった瞬間、喘ぎ声が出た。
微電流のような快楽が走り、しだいに息が上がってくる。
「うっ、やめっ、・・・ぁあああ!」
鎖骨から侵入してくる触手の数が増えたかと思うと、乳首に強く絡み付いてきた。
まるで指でつまみ上げられたり、こすられたりするような刺激に、腰が熱くなってくる。
その熱を感じ取ったかのように、触手の一部が、股の間にもぐりこんできた。ぬめった刺激に、ひくんと腰が震える。
「やぁ、だめぇっ」
弱々しい拒絶も、ペニスをゆるゆると刺激されると、喘ぎに変わっていく。
甘い声に気をよくしたのか、触手の動きが激しくなってきた。
いつのまにか足立は、ボタンの飛んだシャツだけ羽織った恥ずかしい格好で、触手に翻弄されていた。
「あっ、はぁ、もう」
絶頂が近づき、触手だけでは物足りず、自らも腰を揺らす。
涎なのか、先走りの蜜なのか、触手の体液なのか、体も床もどろどろに濡れている。それすら刺激になって、びくびくと体が反応する。
「はぁ、イく・・・っ!」
目を閉じて自分の快楽だけ追い、一際強く腰を振ったとき、

「足立さん?」

信じられない声に、目を開けた。
「え・・・? 君、なんで・・・」
そこには見慣れた少年がいた。いや、それよりも。

自分のはしたない格好を思い出して顔が強ばり、羞恥にぶるぶると震えた。
「やっ、あ、見ないで・・・!」
少年はあっけにとられているのか、何も言わず、足立を凝視してくる。
その視線に、ぞくりとしたとき、触手たちが動きを再開した。

「え、ぁ、やだ。だめぇええ、見ないでぇええ、・・・ぁあああっ!!!」
あっという間にのぼりつめて、射精した。
同時に、触手たちも震え、体のいたるところに、びちゃっと体液がかけられる。
その刺激にすら体がひくついて、かぁっと顔を赤らめた。

触手に嬲られただけでも恥ずかしすぎるのに、自慰のような行為、おまけにイくところまでまじまじと見られて。
もうやだ。世界なんて今すぐ滅んじゃえばいいのに。
はぁはぁと息を荒げて顔を隠すように下を向いていると、少年の靴が見えて、びくっと体が跳ねた。
「足立さん・・・」
「・・・っ」
顎を掬われて、ごくりと喉がなる。
「気持ちよかったですか?」

視線をそらして、首を横に振った。
「嘘」
「・・・嘘じゃないよ」
「そうは見えませんけど」
親指で濡れた唇をなぞられて、びくっと体が震える。

「こんなに気持ちよさそうな顔して」
「・・・っ」
「乳首、真っ赤にさせて」
「・・・ぁ」
「ぐちょぐちょにされて」
「やっ・・・、触らないで」
触手がからまったままのペニスを持ち上げられて、嬌声が漏れた。

「淫乱」
耳をしゃぶられて、ぴちゃぴちゃと音でも犯される。
「俺じゃなくても、こんなに乱れるなんて。やらしいんですね、足立さんは」
「ちがっ、・・・んんっ」
「なにが違うんですか?」
首筋を噛まれて、また体の奥がうずいてくる。
触手は絡まったままだが、少年に怯えているのだろうか、小刻みに動くだけで、先ほどのような強い快楽へ導いてくれない。
それがもどかしくて、ぽろりと涙が零れた。

「助けて・・・」

壊れるくらい、理性なんて吹っ飛ぶくらい、激しい快感がほしい。

「君が、ほしい」

震えながら、少年に口づける。
沈黙が恐くて、離れようとすると、強い力で頭をおさえられ、口内を蹂躙された。
「ふっ、んっ、あっ」
舌を吸われながら、尻のはざまに指がもぐりこんでくる。
待ちわびた刺激に、そこはひくひくと蠢いた。
指を2本、3本と増やされ、苦しいのに、体が熱くなる。
広げられた蕾に、少年の濡れたそれをすりつけられたかと思うと、ぐぐっと押し込まれた。
「・・・あぁっ!」
背後から触手に支えられているとはいえ、立ったままでの挿入は不安定で、少年にしがみついた。
「ふっ・・・あっ、んっ」
いつもより深いつながりに、のけぞった喉元を、舐められる。
持ち上げられた右足が、ぴん、とのびて、無意識に腰が揺れた。
「ひぁっ! あっ、あっ、はぁんっ」
「さっきと、どっちが気持ちいいですか」
「君の、が・・・あぁっ!!!」
少年のくぐもった声がして、性急に突き上げられる。
獣のような息づかいに、この少年も高ぶっているのだと感じ、胸の奥から甘い悦楽が広がる。
気持ちよさがまして、ひっきりなしに声を上げた。

「すごいな・・・」
掠れた声で、耳元でささやかれ、ぞくぞくする。
無意識に少年のものを締め付けてしまって、中のものがぐっと大きくなる。
「は、ぁ、・・・あっ、ふぁっ」
不意に、少年のものを呑み込んでいるところに、指も突き入れられた。
「やぁ、抜いてぇ・・・!」
「苦しいですか?」
必死に頷いたのに、さらに指を増やされた。
「や、ぁっ」
「くっ・・・。そんなに締め付けて。触手も挿れてみます?」
「やだぁっ! 君のじゃなきゃ、やだぁっ!」
あんなものを挿れるなんて冗談じゃない。

「君のでイかせてぇ・・・!」

少年に体をすりつけると、ぎゅうっと抱きしめられて。
「あなたが望んでくれるなら、いくらでも」
蕩けるようなキスをされて、夢中になって舌を絡める。

「もっと、もっと・・・!」

甘い快感を追って、体を揺らめかせた。



*****************************



力の抜けた体を横たえ、少年は指をならした。
赤黒いシャドウは消え、一枚のカードに戻る。
無造作にそれをしまった少年は、愛しい人を抱き寄せ、幸せなキスをした。






お正月企画!
ながっ! エロもながっ!(当社比)
エロ度は下がったもしれませんが(汗)

巳年→触手へのナチュラルな変換がなされた私の脳は、正月ボケ?
ま、単なる趣味です☆<ひでぇ

個人的に、お尻パンパンはたく足立さんは、ちょっと可愛いと思うんだ・・・。

もっとエロ度が上がるように、今年もがんばりま〜す♪
また書きたいね触手!<病院が来い!