バレンタインデーSS
・足立x堂島(微エロ・嫉妬)
・主x足立(微エロ・欲求)
・足立x堂島(下ネタ・面会室)
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「堂島さん、いくつもらいました〜?」
「お前と同じだろ。職員がくれたんだからよ」
紙袋一杯のチョコを後部座席に乗せて、堂島は助手席に乗り込んだ。
中身を落とさないように上着を膝に置く。足立は車を発進させた。
「毎年このチョコ、どうしてます?」
「家族で食べてる。量が多いからな」
「ふうん。今年も?」
「欲しいならやるぞ」
ちら、と見ると、足立は曖昧に笑って、ハンドルを右に回した。
台所にチョコレートを並べると、子どもたちは好きなものを選んで自室に戻っていった。
堂島が余りを紙袋にしまい始めると、隣で頬杖をついている足立がニヤニヤと笑った。
「それ、今、食べてくれないんですか」
明らかに子どもには見せられない形状のチョコレート。
もちろん購入者は足立だ。
「エロく食べてくださいよ」
「意味がわからん」
「わかってるくせに〜」
足立の頭をしばいて、机の端に置いた。
あとで子どもたちの目につかないところに持っていこう。
残りのチョコレートを眺めると、いくつか目に留まるものがあった。
「お。これとそれ変わってるな。ちょっと開けてみるか」
包装紙に手を伸ばす。
触れる直前、手を掴まれた。
「足立?」
訝しげに見ると、足立はにこりと笑った。
「あのねぇ堂島さん。僕は、僕以外のだれかからもらったものを 嬉しそうに食べるあなたなんて見たくないんですよ」
親指で手首をなぞられて、堂島は言葉につまった。
怒っている。
笑顔を浮かべてはいるが、足立はまぎれもなく怒っている。
「本命チョコですよね。それもこれもあれも」
開けかけた箱を、足立は顎でしゃくった。
「だれからのですか」
「知らねぇよ」
足立の視線が冷たくなった気がした。
と、掴まれたままの手を勢いよく引き寄せられ、引きずられるように寝室まで歩かされる。
「ちょっ、足立!?」
襖を閉めた反動で、かけていた上着が床に落ちる。
三つ折りにしていた布団を蹴られ、波打つシーツの上に、押し倒された。
「足立、待て。待てって・・・」
普段、おしゃべりな奴が黙り込むと何やら恐ろしい。
妙な迫力に押されて、ろくに抵抗もできないまま、服を脱がされ、乱暴に触られる。
「ふっ・・・あっ」
それでも、足立の手に導かれた欲望は、簡単に蜜を零した。
「も・・・放してくれ」
「出そう?」
露骨な言い方に、赤面しながら小さく頷く。
「僕の質問に答えたら、出させてあげる」
スーツを着たままの足立に足をかつがれた。
「本命チョコ、だれからもらったんですか」
「・・・お前だってもらったんじゃないのか」
「僕がもらったのは、義理チョコだけ。堂島さんは・・・本命もらいすぎです」
そんなの知るか、という言葉を呑み込んで、堂島は慎重に口を開いた。
「本当に知らないんだ。席に戻ったら、机の中に入ってた」
「本当に?」
「本当・・・あぁっ!」
「嘘つかないで」
根元を強く握られる。逃げ出せない熱に太腿が震えた。
「本当だ! あのチョコは知らないっ!」
「・・・『あの』?」
足立の目が細められる。
「直接渡されたのもあるんですか。・・・告白つきで」
ぐちゅぐちゅと弄られて「ひぁっ」と、のけぞった。
「ないっ。本当に、ないから」
「じゃあ、なに隠してるんですか」
「・・・隠してなんか」
「堂島さんって、嘘が下手くそですよね」
事情聴取のとき以外は、と足立が口先だけで笑って、首を傾げる。
「本命チョコってところがキーワードですか?」
「・・・っ」
「あれ以外に・・・まだあるんですね。チョコレート」
足立の声が氷点下まで下がる。
・・・ここら辺が潮時か。
堂島は溜息を吐くと、腕を伸ばし、上着を引き寄せた。
ポケットから黄緑色の細いリボンがかけられた小箱を取り出し、足立に渡す。
「出すタイミングがなくて、な・・・」
添えられたカードに、足立が眉をひそめる。
「『相棒へ』・・・って」
「・・・店員がすすめてきたから、書いた」
「堂島さんが、買ったんですか」
「・・・あぁ」
「僕のために?」
「・・・そうだ」
無言になった足立を見て、堂島の胸に不安がよぎる。
俺からのチョコなんて、迷惑だっただろうか。
本命チョコなんて、足立にはうっとうしいのかもしれない。
「その・・・無理に食べなくてもいいからな」
重く取られないように、できるだけあっさり言う。
「いらなかったら、俺が食べても」
「あげません」
「えっ」
「僕が全部食べるから」
ぎゅっと抱きしめられる。
「・・・嬉しいです。堂島さんが僕のために悩んで選んでくれたって思うだけで」
蕩けそうな笑顔で見つめられて、ようやく緊張がほぐれる。
「堂島さん。お願いがあるんですけど」
すがりつくような表情で、足立が言った。
「僕以外からもらったチョコ、食べないでください」
「・・・」
「お願いします」
「・・・わかった」
「・・・いいんですか?」
急に弱々しくなった足立に、堂島は笑いかけた。
「好きな相手の言うことを聞いてやりたいのは当然だろ」
内容にもよるがな、と付け加えて、鼻と鼻をすりあわせる。
「お前は別に、そこまで律儀じゃなくても・・・」
いいから、と言いかけて、がりっと耳を噛まれた。
「僕も、堂島さんからもらったチョコ以外食べない」
痛みに目を閉じると、耳の中に舌をいれられる。
「堂島さんは、だれにも渡さない」
囁かれて、ぞくっとする。
「全部、僕のものだ。だから、僕もあなただけのものになる」
嫉妬と独占欲。
自分に向けられているとわかった瞬間、胸が震えそうな幸福感が全身に広がった。
唇を吸われると、それだけで射精しそうなほど感じる。
「やばっ。キスだけで、勃った」
足立が顔を赤くする。相手が自分と同じように感じていると思うと、嬉しくてたまらない。
「俺も、欲しいから」
足立の首に腕を回した。
性急に突き入れられて、苦しくて細く息を吐く。
キスされ、名前を囁かれると、不思議と痛みが遠のく。
甘い愛情が全てを満たしていった。
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いつものように堂島家の少年にお宅訪問をされて、足立はげんなりした。
「あのさぁ。君、好きな女の子とかいないの?」
「好きな人は一人ですし、バレンタインデーは本命のところに行くべきかなって」
爽やかな笑みに押し切られて、結局、部屋の中に招きいれた。
適当にコーヒーを出して、カーペットの上に座る。
「僕、チョコなんて買ってないよ」
そっけなく言ったのに、対面に座った少年は微笑んでいる。
それも気に入らなくて、足立はコーヒーを飲んだ。
「俺も買ってないですよ。ちょっと作ってみたんで、味見してください」
はい、とラッピングされた箱を渡された。
「変なもの入ってないよね?」
「・・・俺、そんなに信用されてないですか」
しゅんとする少年に、「日頃の行いのせいだろ」と思う。
「ごめんごめん。今のなし。ありがとね」
丁寧に包装を剥いで、足立は目を見開いた。
「へぇ。すごいね」
5種類のトリュフが、綺麗に並んでいる。
「今、食べちゃっていい?」
「どうぞ」
全て平らげて、足立は微笑んだ。
「全部、おいしかった」
「よかった。これもどうぞ」
「なにこれ?」
「チョコレートソースです。そんなに甘くないですから」
机に置いて、足立は座り直した。
「お返し、何がいい?」
「いいですよ。趣味で作ったんですから」
「材料費だけでも・・・」
食い下がると、少年は沈黙し、悪戯っぽく笑った。
「手、出してください」
「え?」
「片手でいいですから」
「こう?」
差し出した右の手首に、黄緑色の線が走る。
ラッピングのリボン。チョウチョ結びにされる。
「足立さん」
飾られた手を、恭しく持たれる。
「『僕をあげる』って言ってください」
「・・・」
「・・・なんてね。『ありがとう』だけで十分ですよ」
キスくらいは覚悟していた足立は、拍子抜けした。
その気配が伝わったようで、少年が困ったような笑みを浮かべる。
「俺は足立さんのことが好きですよ」
「・・・」
「好きにもいろいろありますけど、いつも見返りが欲しいわけじゃない」
「・・・ちょっとは欲しいのかよ」
「・・・ちょこっとだけです」
好きな人とキスしたり抱き合ったりしたいのは、自然な欲求だろう。
「ただ、できたら足立さんにも欲しがってもらいたいって、そう思ってます」
穏やかな声に反して、少年の手は熱い。
この子、我慢してるんだと思うと、背筋がかっとして、少し理性が溶けた。
「僕、貸し借りは嫌いなんだよね」
「・・・」
「ホワイトデーにちょうど会えるかもわからないし」
「・・・」
「君の好みなんて考えてジュネスでうろうろしたくない」
「・・・」
「だから、さ」
消え入りそうな声で、呟いた。
「奪ってよ」
チョコレートソースを手に取ったのは足立だった。
少年の鎖骨に塗って舐め、首筋に顔を埋める。
また垂らそうとした手首を掴まれ、一緒に足立の体を甘くする。
その度に手首のリボンが揺れて、妙に興奮した。
「おいしいです」
「やっ」
丹念に舌と唇で味わわれ、挿れられてもないのに、何度も精を放った。
とろとろに溶かされた体は、もう限界だった。
「ねぇ。お願い」
そろそろと足を開く。
「君の・・・ちょうだい」
恥ずかしすぎて、視界が霞む。
深くキスされて、もう何色かわからないそこに埋められていく。
チョコよりも甘い快楽に、全身が震えた。
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堂島の顔を見ると、面会室に入って来た足立は露骨に嫌そうな顔をした。
「しつこい人ですね」
「あぁ。俺は、あきらめが悪いんだ」
猫背の相棒は、堂島の前に座った。視線の高さが同じになる。
「飯は食えてるか」
「まぁ・・・普通に」
足立は俯き、いらいらと手遊びをはじめた。
拘置所の接見は、あまり時間がない。下手をすると早めに打ち切られる。
堂島は、ゆったりとした態度で話を続けた。
「風邪、は引いてないようだな。寒かったら防寒着持ってくるが」
「大丈夫です」
「そうか? お前、俺より寒がりだからな」
ふっ、と足立の口もとが緩む。
「堂島さんが薄着すぎるんですよ。今日もコート着てないし」
「このくらい平気だ。昔は寒中水泳もしてたからな」
「やんちゃだったって言ってましたね」
「あぁ。けっこう気持ちいいんだぞ。親父には怒られたがな」
ふんぞり返ると、足立が噴き出した。
昔のような笑顔に、堂島も笑った。
「まぁそれはともかく、足りないものとか欲しいものがあったら言えよ」
「欲しいもの?」
「まぁ、嗜好品はだめだろうがな」
「・・・あぁ、今日、バレンタインデーでしたっけ」
「持ってきてないぞ」
「僕が捕まってなかったら、買ってくれました?」
「さぁな」
足立が顔をあげた。
ねっとりと絡み付くような視線に、堂島を息をのんだ。
「欲しいのは、あんただよ」
足立は、ゆらりと立ち上がり、堂島の方に顔を近づけた。
「チョコなんていらない。コートもいらない。あんたが欲しい」
前みたいに、と唇が動く。堂島の肌を舐めたときのように、舌が蠢いて、ぞくりとする。
「今夜さ、あんた自慰してよ」
「はぁ!?」
「同じ時間に、僕もする。そうしたらセックスみたいでしょ?」
「・・・っ」
「あんたが俺でマスかいてるって思うと、すっげえ興奮する」
咳払いが聞こえた。立会人のことを思い出して、堂島は赤面した。
「足立、そういうことは・・・」
「聞いてきたのは、堂島さんの方でしょ」
冷たい表情に戻って、足立は椅子に座った。
ほどなく立会人から面会時間の終わりを告げられる。
「足立」
去りかけた足立が、振り返った。
「・・・時間、守れよ」
足立は、目を見張り、そして顔を歪ませた。
幸せそうな泣きそうな、不思議な表情だった。
「・・・毎晩、待ってます」
そう言って、扉の奥に消えた。
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