つっこんでしまう男子の5つのセリフ


 朝の占いのラッキーアイテムが何か役に立ったことあるか?(足立x堂島)
 貸した教科書に何落書きしてくれてんのかな(主x足立)
 電子辞書で何つー単語調べてんだよ……(主x足立x主)
 何で、立ち入り禁止の屋上の鍵持ってんだよ(主x足立x主)
 人の昼飯横取りしてんじゃねえええええ!!(堂島家・主堂主・足堂足/ほのぼの・ギャグ)


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いつもの朝。いつもの署内。
堂島さんの机だけ反射角がずれていて、僕は首を斜めにしてあいさつする。


「おはようございます」
「おう」
「何ですかそれ?」
「あぁ、これか」
困ったように笑って、堂島はそれを見やる。

「菜々子が『朝の占い』が好きでな。
今日のラッキーアイテム、持っていってくれって」
「菜々子ちゃん、かわいいですね〜」
「やらんぞ」

むしろお父さんをください。

「堂島さん、そういうの信じるんですか?」
「たまに験かつぎはするが、そんなにはなぁ・・・」
「じゃあ、それ僕にくれません?」
「え?」
「朝ご飯、食いそびれたんですよ〜」
「ったく、しかたねぇな。半分だけだぞ」
タッパーを受け取って、中身を頬張った。

「プチトマト、おいしいっすね〜」
「うまそうに食うなぁ、お前。
・・・それにしても菜々子は、なんでそういう占いを信じるんだろうなぁ。
ラッキーアイテムとか、役に立ったことあるか?」
「ごちそうさまです」
「あ! てめぇ、全部食いやがったか!?」
「1つ余ってますよ♪」
ひょいとプチトマトを堂島の口に突っ込む。
ぽん、と軽快な音をさせて、へたの部分を回収した。

「・・・てめぇ、覚えとけよ」
「照れてます?」
「うるさい! 外回り行くぞ!」

真っ赤になった堂島にほくそ笑みながら、
占いうんぬんの話を思い出す。


堂島さん、それはね、
あなたと話すきっかけがほしいんですよ。


大好きな大好きなお父さんに、少しでも振り向いてほしいから。


「さっさとしろ!」
「はぁ〜い」


触れた指先が、じわりと熱を帯びた。



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「へぇ、今の高校生ってこういうの勉強してるんだ」
パラパラと参考書をめくり、甥っ子くんに返した。
「足立さん勉強できるんですか?」
「そりゃそうだよ。なんてったって、僕は署内随一の頭脳派だからね!」
「じゃあ・・・これ貸してください」
僕の本棚から1冊抜く。
「君、六法全書なんて読むの?」
「興味あるんで」
「ふぅん、まぁいいけど」

どうせもらいものだし、僕も読まないし。
学生服のポケットにしまうのを横目に、
ベッドに寝転がった。



翌週。
「ありがとうございました」
「え、もう読んだの?」
「根気、ですよ」
ちょっとこの少年を見直した。


家に帰り、貸した本を読んでみる。


「・・・ん?」


何だこのパラパラ漫画ならぬパラパラ文字?


ページの右端を爪ではじいていく。

「・・・あのガキ」

かぁっと耳まで赤くなる。

「次会ったら、しめてやる」



小一時間、消しゴムを探しまわった。



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「あ〜また間違った!
もーやだっ!
アナログ反対!
刑事に足使わすな!」

うがーっと書類に吠えて、
それでもペンを走らせる。

久しぶりに会えた足立さんは俺の部屋の机を奪い、この調子。
というか仕事をしている足立さんって・・・。

「始末書だよ! 朝一で出すんだよ!」

ちょっと納得。
社会って厳しいんだなぁ。

それでも俺に会いに来てくれただけでもうれしい。
でも暇だ。
ソファに足を組み、足立さんの横顔を盗み見る。

「も〜、修正液の上に修正液重ねたら、
ボッコボコになるっつーの」

パタゴニア氷原みたいなもの?

「あ〜もう、漢字出てこない。
ねぇ、君、電子辞書もってない?」
「・・・どうぞ」
「ありがと! さすが現代っ子!」

あぁ、いらいらしてる足立さんも笑ってる足立さんも、かわいいなぁ。
ゆるんだ口もとを咳でごまかしていると、
勢いよくスイッチを押していた足立さんが動きを止めた。


「えっ、ちょっ、これ・・・」
「?」
「君、こういうの調べないタイプだと思ってたけど・・・」

俺に画面を見せてくる。


履歴の欄に、
赤いマルと斜線が必要な言葉、言葉、言葉、言葉。
埋めて尽くされてる。


「いや、これは俺じゃないですよ!」
「ほんと〜?」
「本当ですって! クラスメートが貸してっていって、それで!」
「ふぅん。やっぱ男子だねぇ。こういうの調べちゃうんだ」

足立さん、その笑みは、やらしいです。

「まぁでも僕らの方が、もっと過激なことしてるし?」

足立さんはふりかぶった。
辞書が飛ぶ。
その軌跡を目で追う途中、
ぶつかるように、足立さんも俺の胸に飛び込んで来て、
ソファがきしんだ。


「・・・書類、いいんですか?」
「あおったの、そっちじゃない」

不可抗力です、と言う前に、唇はふさがれて。

「僕の修正液、乾きにくいんだよね」

いつもより興奮気味の彼。


俺の左手から辞書を奪い、
履歴にあった中から今日のプレイを選ぼうかと口にする。


「入力し直していいですか?」
「変態」
「どっちが」

笑いながら、お互いに体の入力作業に取りかかった。


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「最近、我が校の屋上が腐ったみかんどものたまり場になっている!
よってしばらく屋上の利用を禁止する! 屋上につながる階段も通行禁止だ!」
『えぇ〜!?』



「・・・って、クラスで大ブーイングがおこったんだよね?」
「そうです」
「で、何で君、屋上の鍵もってんの?」
「もってるというか、開けるというか」
「立派な犯罪じゃないの。困るなぁ。
そこまでして、僕に何の用? こんなのまで着せてさぁ・・・」

肩をすくめたひょうしに、カラーがあたる。
胸には「八十神高等学校」の縫い取り。
少年の制服を無理矢理着せられた結果だ。
丈の長さは違和感を感じないが、
きちんとボタンを閉めると、ぶかぶかだ。
部活もしているという話だから、勉強一筋の自分とはある種の男らしさが違うのだろう。
何となく気に食わないが、それよりも好奇心が増す。
ここまでして僕を連れてきた理由って?


屋上へ足を踏み入れると、さわやかな風が頬をなでた。



「あぁ、急がないと」



大人の都合なんておかまいなしに、少年は給水タンクに登り始める。
「足立さん、早く」
上から手を差し伸べられて、「いらないよ」といったものの、
最終的に右手に引き上げられて、2人で丸いてっぺんに座った。

「君さぁ、あんまり無茶してたら逮捕しちゃうよ?」
「共犯です」
「はぁ?」
「2人だけの秘密にしましょう」
「あ〜あ、もう知〜らないっ!」
「・・・あ! そろそろですよ!」


突き出された指の先。
割れた夕陽が消える、その一瞬。
ドミノのように町が金色に染まり、
空は群青、雲は桃色の光彩を放って、
月を落とした。



「・・・これを見せたかったんです」
止めていた息をはいた。
「・・・まるでデートだね」
「デートです」
「青春の使い方、間違ってる」
「じゃあ今度、足立式を教えてください」
「お断り〜」

抱え直した膝に、顔をうめる。

途切れた会話の間に、夜の風が吹く。

肩が冷えるまで、そこにいた。


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めずらしく3人で朝飯を食べて、そろそろ出かけようしたところだった。

「堂島さん、これどうぞ」
「なんだ?」
「口に合わないかもしれませんけど・・・」
お弁当です、と甥っ子が包みを渡してきた。
昨夜遅くに帰宅したとき、玄関まで広がっていたにおいは、これか。
「すまんな。気ぃつかわせて」
「いいえ。初めて作ったんで、よかったら感想聞かせてください」
「ありがとな。じゃ、行ってくる」
「お父さん、いってらっしゃい!」
「あぁ、2人とも気をつけて行くんだぞ」
「わかりました、お、お、お、」
「ん?」
「お」
「?」
「お兄ちゃん、も・・・」
「それはいわなくていい!」
つんのめりそうになるのを、どうにかこらえて、外へ出た。
せっかくの弁当、死守せねば。





「へぇ、堂島さん、今日お弁当ですか」
「あぁ。甥っ子が作ってくれてな」
堂島にしては可愛らしい弁当包みを開き、箸をとる。
署内に、ふわりと香りが広がった。
「うわ〜お肉だぁ」
「やらんぞ」
「え〜、お父さんのケチ」
「だれがお父さんだ」
「僕のキャベツと交換してくれません?」
「・・・組み合わせはいいんだがな」
「でしょ?」
「はぁ、お前、たまにはちゃんと食えよ。・・・ほら」
「わ〜、ありがとうございます!」
足立は弁当を受け取り、醤油色の焼肉を頬張った。
「う」
「う?」
「うまぁああああああああい!
なんすかこれ!? 店のやつより、おいしいじゃないっすか!」
「そ、そうか?」
「この色、この味、絶妙な焼き加減!
くはぁ〜! これ僕が食べてきた手料理の中でトップ3に入りますよぉおお!」
「そうかぁ」
目をむいてガツガツ食べる足立に、堂島は、ほっこりした。
甥っ子がほめられるのが、こんなにうれしいなんてなぁ。
足立も食いっぷりがよくて、なかなかかわいらしい。
・・・・・・・・・食いっぷり?

「ごちそうさまでした☆」
「てめぇ、なに1人で全部食っとんじゃぁああああ!!!?」
「げふぅっ!?」

右ストレートがめりこんだ。

「いたたたた。なぐることないでしょ!?」
「うるせぇ! 甥っ子に会わす顔がねぇよ!」
「そんなに怒らなくても〜。おいしかったっていえばいいだけの話でしょうに」
「・・・嘘はつきたくないんだよ」
家族ならなおのこと。
あいつだって、もう、俺の家族なんだから。

「今日は、いつもの倍働きますからぁ。きげんなおしてくださいよ〜」
「・・・本当だな?」
「え? あの、お手柔らかに」
「たまには俺も家族サービスしたいからな。書類たのむぞ」
「え〜? えぇっとぉ」
「返事は1つだよな」
「・・・はい」
肩を落とす足立に、堂島は冷静さを取り戻す。

・・・ちょっと熱くなりすぎたか。

弁当を片すついでにハンカチを冷やし、足立に貸した。



数日後。


「あ、堂島さん、またお弁当ですか?」
「あぁ。あいつ、料理にも興味をもち始めたらしくってな。
しばらく作ってくれるとよ」
「へぇ。しっかりしてますね」
「お前の分も預かってきたぞ」
「え? 本当ですか!? うれしいなぁ♪」

足立は、ぱかっと蓋を開けた。

「・・・くさっ」
「これは・・・すごいな」

なぞの物体Xが、でろりと四隅まで支配していた。
ものすごく酢くさい。

「・・・感想、いわなきゃいけませんか?」
「男を見せるか?」
「遠慮します・・・」

放置しすぎたキャベツのような顔に、
堂島は苦笑し、「横に座れよ」と右手で椅子を出した。

「俺からもいっしょに謝ってやるから、
それしまっとけ」
「うぅ。・・・だってぇ、おいしかったんですよぉ、あのお肉」
しょぼんとする足立が、なんだか愛おしくなって、髪を撫でてやった。

「ま、あいつもちょっとやりすぎだ。
俺からも一言いってやるから。・・・悪かったな」
「そんな・・・! 堂島さんが謝らないでくださいよ」
「はは、確かに」

つられて足立も微笑む。

・・・これだから、こいつを放っておけないんだよな。

自分の弁当箱を、少し右側にずらす。

「ほら、割り箸かしてやる」
「え?」
「今度は砂糖たっぷり焼肉弁当だとよ。
・・・いいか? 全部はだめだぞ?」

示し合わせたかのように、2人、いたずらっぽく笑った。

「はい、半分こですね♪」
「おう。味わって食えよ」
「は〜い♪ それではいざ!」


『いただきます』



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お題お借りしました。「現世の夢」